エブリイになんとか可変式2段ベッドを搭載できないか考える記事の第3回です。
前回はどうやって収納空間を捻り出すのか考えましたが、今回は「材料選びとベッド構成」を検討します。
引き続き失踪しないことを祈っていてください。
具体的なベッド構成
現在想定しているベッドは以下の通りです。
- 助手席後方に配置
- 2段ベッドで高さは1段当たり60cm
- 幅は60cm、長さは180cmを確保
- 収納スペースなし
- 矢崎のイレクターパイプを使用
- 前後で伸縮式機構
- 最低限の工数でリアシートを復帰できる
- ソファ⇄ベッドの展開が簡単
- 運転席助手席は快適に座れる位置のまま
自分で言うのもアレですが超難問ですね
イメージの共有のために、ざっくりとした画像を載せておきます。
フロントシート側の80cm分のパイプが、リア側100cm内部に伸縮収納が可能なギミックを組み込みます。
さて机上論を具体的な計画へ落とし込むには、微細なポイントまで実現性を確認しなければいけません。
よって今回の記事では、どういった部材を使うのか、干渉は起きないのか、可動域のクリアランスはどうかなども検討していきます。
ベッドの位置やサイズについて
まずベッド位置ですが、助手席後方に決めました。
理由は車内でソファ状態をシミュレーションした時、助手席側にソファがあった方が意外と視覚的な開放感があったからです。
それに倒した助手席の背がすぐ近くで荷物(特にポータブル電源)をおけることもメリットでした。
ベッドサイズについては、まず高さはベッド下収納を諦めたことでゆとりのある60cmを確保しました。
また収納を諦めたことでソファと通路部分が地続きになるため、ベッド幅を追い込む理由が無くなりました。
よってベッド幅もゆとりのある60cmを確保します。
長さについてはそもそも180cm取れるか不安なレベルなので、180cm目標としか言えません。
イレクターパイプについて
ベッドフレームの素材には矢崎のイレクターパイプを使用します。
理由は①安い、②軽い、③強度がある、④自由度が高いからです。
パイプ径にはφ28、32、42mmがありますが、伸縮機構を付ける予定なのでΦ28とΦ32を併用します。
ジョイントパーツはプラスチック製を基本とし、組み付けに手間がかかるメタル製の使用はなるべく避けます。
またフレーム強度をしっかり出すためにはジョイント部における接着剤固定が必要ですが、こちらもなるべく使わないようにします。
なぜなら組んだ後に計算ミスなどに気付きパーツの取り替えや微調整が必要になった時に、修正できなくなるからです。
その分、強度については慎重に検討します
強度について
公式見解によれば、イレクターパイプで作った棚の耐荷重は上段で170kg、下段で200kgです。
これはメタル製より強度が落ちるプラスチック製ジョイントを使った上での話ですので、2人分の体重を乗せる分には全く問題ないと言えるでしょう。
ただしこれはジョイントとパイプを接着した話ですので、接着剤不使用時の耐荷重は数10kg程度低下すると思われます。
色について
パイプ(Pi)とジョイント(Jo)の色に関する情報は以下の通りです。
- アイボリー:Φ28Pi、Φ28Jo、Φ32Pi、Φ32Jo
- グレー:Φ28Pi、Φ28Jo、Φ32Pi、Φ32Jo
- ブラック:Φ28Pi、Φ28Jo
- ガーデニンググリーン:Φ28Pi、Φ28Jo
- メタリックゴールド:Φ28Pi(接着不可)
- パールシルバー;Φ28Pi(接着不可)
- モカブラウン:Φ28Pi、Φ28Jo、Φ32Pi、Φ32Jo
- チョコレートブラウン:Φ28Pi、Φ28Jo、Φ32Pi、Φ32Jo
- ブルー:Φ28Pi
- ウォームグレー:Φ28Pi
- イエロー:Φ28Pi
- ブラック&イエロー:Φ28Pi
汎用性が高く無難なのは、やはり無彩色であるグレーでしょう。
内装に合わせて明るいイメージにしたい場合は、アイボリーやブラウン系をベースカラーにすると良さそうです。
色彩センスに自信がある方は、敢えて違う色の組み合わせを選ぶのもありですね。
ただしアジャスターや特殊な部材の色は、アイボリー・ブラック・ブレー・金属色のいずれかなので、ブラウン系やその他のベース色を選択する際は注意が必要です。
なめくじが実際に使う色の組み合わせに関しては、別の記事で整理します。
ベッドフレームの具体的な構成案
さてソファにもできるベッドフレームの構成を具体的な案にしていきます。
上段の天板が跳ね下げすることによってソファとなるため、上段下段のそれぞれの交点に使うジョイントをうまく選ぶ必要があります。
考えやすいようにリア側100cm(Φ32)とフロント側80cm(Φ28)のフレーム構成を分けます。
以降ではイレクターパイプの品番名を使い説明します
なお以降は言及しませんが、可動箇所にはすべてシリコンスプレーを吹き付けて摩擦力を減らすものとします。
リア側100cmフレーム案
こちらはΦ28であるフロント側80cmのパイプを収納するために、Φ32のイレクターパイプを使用します。
さてベッドからソファへの変化は「①通路側のパイプ接続を外し、②天板を跳ね下げ、③残ったパイプを壁側へ倒す」という流れを想定しています。
当然、ソファ→ベッドへは逆の手順です
今回検討する案では、ベッドフレームの一部を天板裏に接着することとします。
という訳で、まずは一旦イメージ図を整理しましょう。
まず天板周りの構造から解説します。
天板の造りそのものは後述します
パイプA(+補強用パイプA)ですが、こちらはJB-46を使ったビス固定法で天板裏へ接着します。
しかし天板端にビスの打ち代が無いため、パイプAを直接ビス固定するのではなく、パイプAと接続している”補強用パイプA”を交点AとBギリギリでビス固定します。
パイプAおよびBと補強用パイプAは、交点AとBにおいてJB-59Cで接続します。
そして交点AおよびJB-46+補強用パイプA接続部を接着液で固定すれば、天板部が擬似ラダーフレーム化します。
交点BはJB-59CとパイプBの接続部ですが、天板の回転運動と取り外しができるように、あえて接着剤は使いません。
以上の構造によって、交点Bを軸に天板が跳ね下げできるようになります。
次に天板以外の構造について解説します。
天板を支えるためには交点B以外にもパイプAとパイプCの接続=交点Cも必要なので、こちらにはJB-59Cを接着剤無しで使用します。
パイプCを壁側へ倒せるように、交点DはJB-118Bを接着剤無しで使用します。
動かす必要がない交点EはJB-5で、同様に交点FはJB-4にて固定します。
ベッドフレームとしての強度を上げるための補強用パイプB/Cは、位置調整をしやすいようにJB-118Bを用いてフレームへ接続します。
ここまですれば全体が擬似的な直方体フレームとして働き、荷重が分散されるようになります。
最後にパイプAのリア側端をキャップJB-110で埋めれば完成です。
以上を踏まえると、必要なパーツは以下の通りとなります。
- パイプ:Φ32、100cm弱×4本+50〜60cm×6本+60cm×4本
- 交点A:JB-59C×4個
- 交点B:JB-59C×4個
- 交点C:JB-59C×2個
- 交点D:JB-118B×4個
- 交点E:JB-5×2個
- 交点F:JB-4×1個
- パイプ端:JB-110×1個
- パイプ接着用:JB-46×8個
- 接着用ビス:M4/10mm以下×16個
- サンアロー接着液:適当量
- シリコンスプレー:適当量
ちなみにリア壁側の上段にはダンパー用の”逃し”を作る予定です
フロント側80cm(Φ28)
次にフロント側80cmのフレームについて検討します。
こちらではリア側のΦ32へ伸縮収納を可能にするために、全てΦ28のイレクターパイプを使用します。
また上段ではパイプ同士で4mmの段差があるため、フロント側で使用する合板は厚さ9→12mmに変更します(詳細は後述)。
フレームは収納すればリアシートを復帰可能に、伸縮すればソファやベッド展開できるという形にします。
一部パーツの脱着は必要ですが最小限の手間にします
さてフレームの伸縮を可能にするためには、こちらもかなり特殊な構造となり、リア側100cmのコピペとはいきません。
具体的なイメージ図は以下の通りです。
天板周りの構造はリア側100cmとほぼ同じです。
裏側にJ-46によるビス固定法で補強用パイプDを接着させた天板を、交点G/HにてJ-59CでパイプD/Eへと接続します。
接着液での固定も同様です
交点JはパイプFを壁側へ倒せるように、接着剤無しでJ-118Bを用いて接続します。
伸縮機構をつけるため、交点Kには異型ジョイント伸縮ロックセットJE-101を使ってリア側のΦ32フレームと3点で接続します。
パイプGは交点LでJ-5を、交点MでJ-12Aを用いて他のパイプへ接続します。
そして交点NではJ-4を用いてパイプJを接続します。
パイプIとJはそれぞれ着地する地面の深さが違うため長さを調整して接続しますが、収納時には外すため、交点MとNの地面側は接着剤なしとします。
さらにパイプI/Jの地面側へはアジャスターを設置することで微調整をしやすく、また車中泊時の傾斜調整も多少できるようにします。
リアシートを復帰するには、フロント側の天板とパイプまた先述した通り、天板を外した状態でΦ32側へパイプを収納すれば、フレームを車外へ出すことなくリアシートを復帰することが可能です。
フロント側80cm(Φ28)を構成するパーツをまとめると以下の通りです。
- パイプH:Φ28、🔴cm×1本
- パイプI:Φ28、🔴cm×1本
- その他のパイプ:Φ28、80cm弱×4本+50〜60cm×4本+60cm×4本
- 交点G:J-59C×3個
- 交点H:J-59C×3個
- 交点I:J-59C×2個
- 交点J:J-118B×2個
- 交点K:JE-101 SET×3個
- 交点L:J-5×1個
- 交点M:J-12A×1個
- 交点N:J-4×1個
- 補強用パイプE用:J-118B×2個
- パイプ端:J-110×1個
- アジャスター:JG-12 SET×2個
- パイプ接着用:J-46×6個
- 接着用ビス:M4/10mm以下×12個
- サンアロー接着液:適当量
- シリコンスプレー:適当量
天板について
材料の選択
ベッド部分とも言える天板については、サイズを合わせて切り出した「1類・2級の合板」を「リア側100cmは9mm」「フロント側80cmは12mm」の厚みで使います。
リア側とフロント側の合板の厚みを変えるのは、パイプ径のΦ4mm差(r=2mm差)を吸収するためです。
ホルムアルデヒド放散量は、我々の体質上の理由でF☆☆☆☆☆かF☆☆☆☆を選びたいので、コンパネではなく普通合板または構造用合板を選択することになります。
原材料や品質は気にせず安さ優先です
クッション材は上段と下段で構成を変えます。
下段は硬めのウレタンチップスポンジ+高弾性ウレタンスポンジで、理由はソファの座面としても使うためヘタれにくくしたいのと、下段使用予定の妻がやや高反発寄りの寝心地が好みだからです。
上段は柔らかめのウレタンチップスポンジ+低反発ウレタンスポンジで、理由は上段を使用するなめくじは低反発タイプが好きだからなのと、ソファの背もたれとして柔らかい方が好ましいからです。
表面材には寝汗が染み込まず汚れを拭き取りやすい合皮を採用します。
よって色合いを適切に合わせた合皮を切り出し、クッション材ごとタッカーで合板に止めるという工程になります。
分割の仕様
ベッドフレームに伸縮機構を備える関係で、天板を1枚ものにはできません。
よって上下段ともに適切なサイズに振り分けて天板を2分割します。
しかしフレームが露出すると座り心地や寝心地が悪化するため、以下のようにクッション材の表面側の材質のみがフレームを覆うような天板構造になることを目指します。
ダンパー用の逃し
ベッド上段の天板(リア側かつ壁側)は、リアゲート用のダンパーがわずかに干渉する予定です。
よってある程度ベッドフレームを組み付けた段階で、現物合わせにて天板へ切り欠き加工を施します。
角落としでいけると一番楽ですが…
本当は丸ノコが欲しいところですが、小さい加工なので手動のノコギリでも何とかなるでしょう。
サイズ
大まかなサイズは180cm×60cm×2枚分の天板ですが、ジョイントパーツ分などmm単位〜数cmにおよぶ誤差が出るはずです。
よってサイズを確定させるのは実際にベッドフレームだけを組み、実寸を測ってからということになります。
最後に
かなり難産の記事でしたが、なんとかこれでラフ図面の完成まで漕ぎ着けました。
次回以降は改めて車の採寸をしつつ、行けそうなら材料購入まで進んでみようと思います。
興味がある方は引き続き記事完成をお待ちくださいね。
ではまた次の記事でお会いしましょう