本記事では2024年4月〜6月にかけて自作した「可変式2段ベッド」をレビューしてみようと思います。
まだ使用経験は多くないですが、感想やメリットデメリットをまとめますので、これから作ろうという方の参考になれば幸いです。
可変式ニ段ベッドとは
「可変式ニ段ベッド」とはなめくじの造語で、ソファモードにも切り替え可能な二段ベッドのことを指します。
コンセプトは以下の通りです。
- 大人2人が快適に寝られる
- 安価かつ軽量
- ベッド⇄ソファ⇄通常のモードチェンジ機能
- 構造変更や鉄板への穴開けは回避する
ベッドは夫婦2人が快適に寝られるサイズで、安価かつ軽量な部材を使って作り経済性も両立させます。

よって骨組み部材はイレクターパイプ一択です
また、簡単な手間でベッドモード/ソファモード/通常(4人乗車)モードを行き来できるようにします。
後部座席を外す等の構造変更申請が必要な作業と車鉄板への穴開けは全て回避します。
なぜ二段ベッドを作ったのか
当初は下記画像のように、荷室床にマットと毛布を敷いて横並びで寝ていました。

このスタイルは空間を立体的に使って無駄がありませんが、以下のような欠点も抱えていました。
- 寝返りでお互いの体が当たる
- 車内の圧迫感が強い
- 休憩時に2人で横になれない(※)
- 効率重視すぎてワクワク感がない
※置いた荷物で1人分の就寝スペースが潰れます
特に気になるのが①で、寝返りが激しいなめくじはお互いの体が当たる度に起きたり妻を起こしたりするのが苦痛なのです。
そこでもっとワクワクできて、なおかつ広さを確保できる車中泊スタイルを求めて二段ベッドを着想しました。

ただしネット上では参考事例が全く無いので全部手探りです
可変式ニ段ベッドの満足度
まだそこまでの回数を使っていませんが、5点満点とすれば最初は2点、今は3〜4点といったところです。
なめくじの体格(175cm、63kg)からするとベッドの耐荷重も問題ないですし、以前の横並びと比べると横や足元も広々で快適です。
しかしまだ改良の余地があったり、妻は不満を持っていることが3点の理由です。
追記)寝心地が改善されて今は4点というところです
実際の写真
ベッドモード
ベッドモードだとこのような形です。

下の画像は冬場なので少し荷物多めです

※良い写真が撮れたら差し替えます…いつも撮るの忘れちゃう
ソファモード
まずは空荷の状態です。


実際の車中泊での画像はこちらです。

通常モード
※良い写真が撮れたら載せます…いつも撮るの忘れちゃう
フロントシート側の様子
車中泊時には置ける荷物は全てフロントシート側に置いています。

メリットデメリット
二段ベッドを実際に作ったり使って分かったメリットとデメリットを紹介します。
- 就寝スペースが広い
- マット無しでも寝られる
- 荷造りや着替えがしやすい
- 2人いてもくつろげる
- 収納力が増える
- 移動時にも2人で寝られる
- 拡張性がある
- 運転時の後方確認不良
- 作るのが大変
- 揺れが強い
- 上段から落下する危険性
- 下段に暑さが籠る
- 身長が低いと上段がつらい
- 床が硬い
- 寝袋が滑る
- 荷物スペースが少ない
- インフレーターマットを置いておけない
メリット
就寝スペースが広い
エブリイ荷室で横並びに寝る場合、最も狭い場所での一人当たりの幅は620mmです。

つまりセミダブルベッドのサイズです
一方で可変式二段ベッドではダブルベッドに近い幅650〜700mm程度を確保できます。
またベッドの横に開放空間があるため、ゆったり感には数字以上の差があります。
セミダブルでは寝返りで手足がお互いの体へ当たりますが、二段ベッドでその心配はありません。
マット無しでも寝られる
それなりの厚さ(35mm)のスポンジを仕込んだ座面なので、マット無しでも一応寝られます。
スポンジを更に厚く設計すれば、マットなしでも快適な寝心地となります。

材質にもよりますが最低500mmのスポンジ厚が必要そうです
追記)35mmだと翌朝に腰が痛かったのですが、100mmインフレーターマットを導入したら快眠できるようになりました
追記2)ただし合計135mmの座面厚は天井がかなり迫ってきます
荷造りや着替えがしやすい
ソファモードでは車内がかなり開放的になるため、体を自由に動かしたり荷物を移動させたりするのが楽です。
また入浴後や起床後の着替えも楽ですし、車内で出発準備をするにも広い立方体の空間は便利です。
追記)モードチェンジの手間があるので起床後すぐに着替えたい人にとっては逆にデメリット
2人いてもくつろげる
同じくソファモードでは最大1,800mm程度の横幅を確保できるため、横並びに2人座っても十分くつろげます。
小柄な方やお子様なら座った状態でも足を放り投げることが可能です。
また気温が適切な時期であればリアゲートを開けることで開放的な空間となります。
移動時の収納力が高い
ベッドの上段で仕切られた収納スペースが確保できるため、移動時の収納力が高いです。
車中泊キャンプでは就寝時に荷物を外に置いておけるため、その収納力を生かして色々と荷物を持っていけます。
移動時にも2人で寝られる
縦に積める収納ボックスを用意できれば、ベッドスペースを空けてもそれなりに荷物を収納できます。
よって移動中の荷物が多い状態でも、荷物をざっくり片付ければ二人分の就寝スペースを確保できます。
拡張性がある
将来的にはリアゲートを開放した状態でテラス席を作るシステムを備え、広々としたくつろぎスペースにしようと思っています。
単独使用でもいいし、テントと合わせるとソファのある開放的なリビングに早変わりしますね。
参考動画:winpy-jijii様動画

こんなんできたらワクワクが止まらないよ
デメリット
運転時の後方確認不良
荷室左側に寄せる形でベッドを構築したため、ベッドモードのままだと左折時の左後方の確認がしづらいです。
※しかし右寄せだと重心が車の中心からズレます
またリアカメラが無い車両であれば、ソファモード以外では後方視野が狭まります。
作るのが大変
可変式ベッドは通常ベッドと比べて構造がかなり複雑かつ精密な採寸を必要とするため、作るのが大変で時間がかかります。
また、設計図には現れない細かな問題点をその場その場で見つけて解決する必要があるため、DIY初心者には不向きです。
揺れが強い
可変式構造を取ったために、フレームの強度が低く揺れやすくなっています。
それが妻に不評だったため、補強のバーとベルトを追加して揺れを抑えることはできました。
ただしその影響で、想定よりモードチェンジでの手間が増えてしまいました。
追記)運転席のシートでフレームを固定することでこの問題は全て解決しました
上段から落下する危険性
落下防止柵をつけていないので、寝相がかなり悪い人だと上段から落下する危険性があります。
また「落ちるかも」と心配な方は、寝返りを無意識に避けて睡眠の質が落ちるかもしれません。

妻がこのパターンなのでなめくじが上段を使っています
落下防止柵はDIYで一応どうにかできる範疇ですので必要な方は知恵を絞ってください。
とはいえベッド幅自体が広いので普通に使えばよほど落下の危険はありません。
下段に暑さが籠る
下段にはエンジンの熱や、体で暖められた空気が籠りがちです。
冬場の車中泊ではポジティブな要素ですが、夏ではかなりのデメリットになります。
対策として就寝予定時刻の数時間前にエンジンを切って冷やしておくのと、サーキュレーターなどを使ってしっかり換気システムを整えておくことが肝心です。
身長が低いと上段がつらい
二段ベッドの高さを確保する上で、上段座面は荷室床面から70cm程度の位置にせざるを得ません。
そのため、身長が低いと上段への上り下りがしづらいです。

踏み台を用意すると下段の出入りに邪魔ですしね
床が硬い
ベッドマットで快適に寝るためには一工夫が必要です。
製作した3.5mmのスポンジ厚ではやや底付き感があり腰が痛くなるので、EVAフォームマットや毛布を併用するか、いっそのこと合板+80〜100mm厚のインフレーターマットの構成にした方がいいかもしれません。
ただし合板剥き出しだとソファモードの時に座るのがしんどくなるので良し悪しです。
寝袋が滑る
上段だと座面と摩擦不足で体動で寝袋やマットが滑るのが地味にストレスとなります。
ただしこれはDAISOで購入できるズレ防止マット(大)を使ったり薄手のブランケットを巻き敷くことで対策できます。
ソファモードでの荷物スペースが少ない
ソファモードを使う際には、荷物を置くスペースが少ないです。
これは製作時点で分かっていたことですが、良くも悪くも予想を裏切らない印象でした。
よってソファモードも使う予定がある場合は荷物を最小限にし、適切なサイズの収納ボックスを使う必要があります。
インフレーターマットを置いておけない
フロントシートを快適な位置に調整すると、インフレーターマットを広げておいたままでは外にはみ出してリアゲートを閉められなくなります。
かといって毎回しぼませて収納するのも手間だし、、ということでここは現在検討課題です。

短めのインフレーターマットを探すか…
今からもし二段ベッドを作るなら
もし今からなめくじが二段ベッドを作るとしたら、ベッドを運転席側に寄せて(※)、座面を合板+80mm以上の柔らかめウレタンスポンジというスタイルにすると思います。

※重心はズレますが妻の運転時の安全性を優先です
連泊できる休みを取れないせいで活用しにくいソファギミックは、悩ましいですがおそらく付けると思います。
正直言えば今はソファモードは無くても問題ありませんが、今後なめくじ夫婦の生活や車中泊のスタイルが変わってギミックが欲しくなるかもしれません。
そうなるとフレームを1から作り直すことになるため、最初から作っておきたいところです。
ただしギミック有りにすると製作の手間が格段に増えるので、人によっては常設ベッドとして割り切ってギミック無しにするのも手でしょう。
とはいえベッドを収縮収納してリアシートを復帰できる機構は備えておいた方が無難だと思います。
我々は自分1人か夫婦2人でしかほぼ乗車しませんが、それでも時々誰かをリアシートに乗せるシーンが出てきます。
そのたびに長辺1,800mmもある固定ベッドフレームを車から撤去するなど正気の沙汰ではありません。
またそんなサイズのフレームを自宅に出し入れするのもかなり大変です。
せっかく軽く仕上げたフレームなので、ベッドは収納機構をつけて車内に置き続けることをおすすめします。
最後に
簡単ではありますが、以上が現時点での可変式二段ベッドのインプレッションです。
さて車中泊用ベッドキット自体は数あれど二段ベッドは相当珍しく、更に可変式となると参考資料が全くありません。
なめくじもかなり手探りで製作しました。
製作するか検討中の方も出来上がりを極めてイメージしづらいかと思います。
そんな皆さんのためにも今後改良を加えながら活用し、随時記事内容を変更していきます。
※写真も撮れたタイミングで追加していきます
本記事が少しでも皆さんのベッド製作、ひいては車中泊ライフの参考になれば幸いです。

ではまた次の記事でお会いしましょう