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エブリイ5AGSが気になるけど乗りにくいと聞いて躊躇っている、もしくは実際に乗りにくいと感じている皆さんこんにちは。
5AGS(HBD-DA17V、2018年式)ユーザーのなめくじです。
本記事では5AGSの是非と快適な運転方法の一例について現役オーナーが紹介します。
5AGSは特殊なトランスミッションであり、正直に言えば向き不向きがあります。
車は決して安くない買い物です。
これから買う方はしっかり記事を読んで後悔のない購入を、すでに所有している方は運転をより快適にしてくださいね。
ちなみに著者のなめくじは車の整備士でも、自分でパワートレインをカスタムするような玄人でもないことは予めご了承くださいね。
エブリイ全体のインプレッションを知りたい方は、先にこちらの記事を読んでくださいね。
結論
- 5AGSはAT限定免許でも運転できる
- 5AGSはクセが強く、人によって向き不向きがはっきり分かれる
- 独特の運転特性を理解すれば快適に運転できる
- Nレンジ使用の運転方法は自己責任でどうぞ
5AGSとは
5AGS(5–Auto Gear Shift)とは簡単に言うと「電子制御式の5速マニュアル車」です。
大切なのでもう一度言いますが、5AGSはマニュアル車です。
さて本来マニュアル車(以下、MT車 )は左手と左足の同時操作でシフトチェンジしますが、5AGSではオートマ車(以下、AT車)のような右足だけの操作(Dモード)または右足+左手操作(Mモード)のみで行います。
MT車の運転経験が無ければDモード推奨です
クラッチペダルは無いため、走る仕組みがMT車であってもAT限定免許で運転できます。
ギア選択や半クラッチが自動制御されているため、MT車と違ってエンストは起こりません。
理想的に思えるこの電子制御系ですが、実はこれこそが「5AGSが乗りにくい」と言われてしまう理由です。
5AGSの是非について
まずはオーナーとして、5AGSの是非についての見解を述べます。
- クセが強い
- 合う人には優秀
冒頭お伝えした通り、なめくじは「5AGSは向き不向きがある」と考えています。
正直に言えばATやCVTと同じ乗り味を求める方や、運転方法を試行錯誤できない方には向いていません。
一方で特性を理解し長所を生かす運転ができたり、必要なカスタマイズをできる方にとっては良いトランスミッションと言えます。
少なくともなめくじは5AGSを選んで正解だったと思っていますし、購入から2年近く経った今でも快適に運転できています。
通勤・買い物・車中泊・キャンプにとマルチに活躍中です
※なめくじがエブリイ5AGSを選んだ理由を知りたい方は以下の記事をお読みください
5AGSのメリットとデメリット
次にオーナーとして日々感じる、具体的な5AGSのメリットデメリットを紹介します。
メリット
- 高積載時や登坂時でも力強さがある
- 渋滞時ではMT車よりも運転が楽
- AT限定免許の家族でも運転できる
- 4AT車よりも燃費が良い
- 4AT車より車両価格が安い
- 運転が楽しい
4ATや5MTと比べて全体的にギア比が大きい5AGSは低速〜中速トルクの力強さがあり、荷物を積載することが多いユーザーにとっては大きなメリットがあります。
軽貨物運送は当然として、車中泊やキャンプ、アウトドア用など幅広く活躍してくれることでしょう。
軽キャンピングカーのベースにも適してます
またグイグイ登れるので、坂道が多い街にお住まいの方にもおすすめです。
デメリット
- 運転特性のクセが強い
- 出だしが遅い
- 5MT車よりも燃費が悪い
- 5MT車より車両価格が高い
- AGSアクチュエーターが壊れると修理費が高い
燃費や車両価格については多少変わるという程度で、決め手になるほど大きいメリットでもデメリットでもありません。
AGSアクチュエーター(電子制御の心臓部)の修理費が高い(らしい)のは明確なデメリットですが…。
やはりほとんどの人にとっては、5AGSの独特な運転特性を理解して扱えるかが課題でしょう。
理解しなくても運転できますが、それでは快適ではないです
ここが5AGSの面白さや有用性であると同時に、向き不向きが分かれる最大のポイントでもあります。
5AGSの運転特性について
次はクセが強い5AGSの運転特性についての具体的な説明です。
- 運転モードは2種類(DモードとMモード)
- 簡単だけど快適性に欠けるDモード
- 難しいけど快適性が高いMモード
- 1速を使う機会はほぼない=実質4段ギア
- 出だしが遅い
- 高積載時でもちゃんと走る
Dモードについて
全て自動でシフトチェンジが行われるDモードの運転方法は、AT車やCVT車と全く同じです。
利点は「運転の楽さ」と「誰でも運転できること」、欠点は「シフトショックの大きさ」と「燃費の悪化」です。
欠点に関してはアクセルワークの最適化によって、ある程度回避できます。
あくまで、”ある程度は”というレベルです
またDモードで急勾配を登坂する際は、頻繁なシフトチェンジによって車がガックンガックンします。
Mモードについて
Mモードはシフトアップが手動、シフトダウンが自動(手動も可能)の運転操作です。
AT車のマニュアルモードやMT車の運転経験があれば割と簡単ですが、通常のAT車やCVT車の運転経験しかない方は練習が必要です。
利点は「燃費走行〜キビキビ走行まで自分で調節できること」と「快適な乗り味」です。
欠点は「操作の煩雑さ」と「 拒絶反応を示す人がいること」です。
別の家族が運転する場合もある方は要注意です
またMモードは登坂時や強くエンジンブレーキを利かせたい時にも使用します。
1速について
1速はかなりのローギアに設定されており、その活用シーンは高積載状態での坂道発進や急峻な登坂時などに限られます。
ほとんどの方は、1年に数回使うかどうかというレベルです
よって日常使いの観点からは、5AGSは実質4段ギアと言えます。
出だしについて
発進時の半クラッチ操作(電子制御)がモッサリしているため、基本的に出だしが遅くなります。
また2速〜3速も貨物車らしくローギアに設定されているので、30〜40km/hぐらいの速度に乗せるまでに思ったより時間がかかります。
もちろん発進時からアクセルを踏み込めばそれなりの出だしや加速感にはなりますが、燃費悪化やクラッチディスク摩耗とのトレードオフとなります。
高積載時でもちゃんと走る
5AGSは高貨物前提でギア比が組まれているので、高積載時でもちゃんと走ります。
例えば荷物や乗員を多く乗せた登坂走行でも、適切なギアさえ選べば力強く走ることができます。
仕事以外でもレジャー・車中泊と活躍してくれます
5AGSを快適に運転する方法
さて本記事2個目のテーマである5AGSの快適な運転方法について紹介します。
あくまで1ユーザーの運転例として受け止めてください
快適に運転するためになめくじが心掛けていることを以下に羅列し、順に解説していきます。
- Mモード主軸で運転する
- 出だしの遅さは割り切る
- 手動シフトアップの最適化
- シフトチェンジ時は一瞬アクセルオフ
- 右左折時はちゃんと2速まで落とす
- Nレンジの使用
なめくじ自身5AGS車を運転するのは初めてだったので、最初はかなり慌ただしい乗り味でした。
しかし慣れた今では、同乗者が特に何も思わない程度にはスムーズに運転できています。
①Mモード主軸で運転する
なめくじはダラダラ続く渋滞以外はすべてMモードで運転しています。
なぜならDモードでは加速がなめらかでないのと、シフトショックを抑えきれないからです。
運転を最適化できる方ならMモード推奨です
具体的なMモードでの運転方法について知りたい方は、下記記事も参考にしてください。
②出だしの遅さは割り切る
出だしの遅さ問題ですが、ココはもう素直に諦めます。
なぜなら加速を重視して2速で引っ張ると燃費が悪化する上、エンジン音がうるさいのと3速に入れる時にシフトショックが起きやすくなるからです。
なめくじはいつも、トラックやバスのイメージでゆっくり発進しています。
貨物車でスポーティな走りは無理です
③手動シフトアップの最適化
5AGSを快適に運転するには、手動シフトアップの最適化が重要です。
なめくじが普段している燃費重視の運転では、以下(平地条件、数字はメーター読み)のようにシフトアップしています。
- 2速:停止〜22km/h
- 3速:22〜36km/h
- 4速:36〜42km/h
- 5速:42km/h以上
これは車重や年式、車の状態などで変わるでしょうから、多少数値は前後すると思います。
街乗り運転では、これ以上引っ張ると燃費が悪化しました
これは低回転域で燃費がよく乗り心地も良い運転なのですが、実はエンジンにとっては厳しい使い方となります。
街乗りメインでこのような運転ばかりしているとエンジントラブルのリスクが増えます。
よってこの乗り方をする場合は、月に1〜2度程度遠出でエンジンをしっかり回しましょう。
④シフトチェンジ時は一瞬アクセルオフ
5AGSの機構はMT車ですので、シフトチェンジ時にクラッチが再接続するまで、わずかなエンジンの空転時間ができます。
つまりアクセル踏みっぱなし運転ではエンジンが空転し、それによってギアとの回転数が合わなくなりシフトショックが出ます。
アクセルも多少は電子制御されていますが…
よってシフトチェンジ時はタイミングを見計らって一瞬だけアクセルオフし、クラッチが繋がった時点で再度アクセルを踏み直します。
このアクセルワークだけでもシフトショックをかなり減らす効果があります。
⑤右左折時は先に2速まで落とす
右左折時に自動シフトダウンに任せて減速していくと、曲がっている途中で3速から2速に落ちる場合がよくあります。
意図せずアクセルが数瞬反応しなかったり、ブレーキの効きが変わることで車体が揺れながらのギクシャクした曲がり方になります。
よって途中で2速に落ちる右左折では、曲がる直前で2速に手動シフトダウンした方が良い場合があります。
慣れたらブレーキワークだけでスムーズに曲がれるようになります
⑥Nレンジの使用
Nレンジの使用とは、Nレンジに入れながらフットブレーキのみで減速〜停車する走行方法で、「コースティング」とも呼ばれます。
賛否が分かれると思います
NGとされることも多い運転方法ですが、一部のトラックや欧州車ではエコ機能として標準実装されていたりするそうです。
使う場合は減速しつつ停車を目標とする際にDレンジからNレンジにシフトを入れて、後はフットブレーキで止まるだけです。
Nレンジを使用すると、AT車はおろかCVT車よりも滑らかに停車できるようになります。
また車を知る方ほど懐疑的でしょうが、少なくともなめくじの環境下では燃費が改善します。
滑らかな停車
5AGSでは少し強めにブレーキを踏むと連続でシフトダウンして、加速度的にエンジンブレーキが効き始めます。
また同時にゴツゴツと振動するような弱めのシフトショックを感じます。
一方でNレンジ使用で減速すれば、誇張抜きに最も滑らかな停車ができます。
※長い下り坂での減速は事故防止のために、必ずエンジンブレーキを使ってください
燃費が改善する
車は本来、一定のアクセルオフやブレーキ時でのガソリンカット機能を備えています。
逆にNレンジでのエンジンはアイドリング状態で濃い目にガソリンを消費します。
よって本来はNレンジ使用での停車は燃費が悪化するはずなのですが、なめくじの実測データでは燃費が0.5km/L程度改善しています。
目測を誤っての踏み足しが無くなるせいかもしれません
ちなみになめくじがNレンジに入れるのは停車予定の位置から5m程度手前で、以下の速度を目安にしています。
- 5速走行時:32km/h目安でNレンジへ
- 4速走行時:22km/h目安でNレンジへ
- 3速走行時:20km/h目安でNレンジ or 自動シフトダウン
- 2速走行時:やる意味なし
また最近では5速走行時は4速に一旦落としてからNレンジに入れることが多くなっています。
Nレンジ使用の注意点
Nレンジを使用する運転には、以下のような注意点があります。
- やり方次第では燃費が悪化する
- Nレンジ時に追突されると車が吹っ飛ぶ
- シフトを戻し忘れると次の発進時に空ぶかしになる
- 下り坂ではフェード現象やベーパーロックが起きるのでNG
- ブレーキパッドの摩耗が早くなる
- シフト周り部品の劣化が早くなる
- 停止前の再加速が必要な時にクラッチに負荷を与える
①は慣れ、②や③は停車後すぐにシフトを入れ直す癖を付ければ回避できますし、④は運転手としての常識の問題です。
さてNレンジでの減速ですが、フットブレーキを多用する関係でブレーキパッドの摩耗が早くなると考えられます。
またMモードでのシフト操作にNレンジへの頻繁な操作を上乗せすると、シフト周りへの負荷が高まります。
耐久性を持たせて製造されているはずですが、それでもシフト周りの部品劣化は早まる恐れがあります。
最後にNレンジでの減速途中に再加速が必要になるシーンを考えます。
本来は自動/手動シフトダウンで減速すべきですが、実際の走行ではこういった誤算が起きます。
この場合はクラッチ周りにダメージが入らないようエンジンとギアの回転数差をイメージしながら、再度D/Mモードに入れるしかありません。
AT車でNレンジ使用運転はダメ
以上のNレンジを使用する運転方法は、5AGSがMT車ベースだから問題無い(と、なめくじが判断している)だけで、AT車やCVT車で行うと故障の原因となります。
今後AT車やCVT車を運転する方は決して真似しないでください。
簡単でそこそこ快適な運転方法
「こんな細かいことやってられないよ」「こんな運転を家族にさせるのは絶対無理」という方向けに、簡単でそれなりに快適な運転方法をお伝えします。
結論から言えばシンプルで、Dモードで丁寧に運転しましょうということです。
5AGSの自動シフトアップは例えて言うと、MT車の運転にあまり慣れていない人の操作のような感覚です。
一方で自動シフトダウンはそれなりに優秀で、完全に任せてしまっても大丈夫です。
穏やかな加速を心がければシフトアップ時のシフトショックも小さくなり、それなりに快適な乗り味になります。
大切なのは乗り続けて5AGSのクセに慣れることです。
「そろそろシフトチェンジされるな」というタイミングさえ掴めれば、想像しているより運転は快適だと思いますよ。
5AGS購入の際には
今まで述べたように5AGSは独特のクセがあるため、本当は試乗してから購入すべきです。
ただし5AGSは新型では無くなってしまったので、試乗ができる中古車屋を探す必要があります。
本記事だけでイメージが掴めるといいのですが…
さてエブリイ5AGSは現場仕事でも多く使われてきたため、新型で廃止となったとは言え程度の良い個体が豊富です。
またこういった商用車は買取車両数が多過ぎるため、大手中古車販売会社では中古車情報サイトへ未掲載となっている在庫があったりもします。
ご希望の条件を満たす5AGSが中々見つからない場合は、中古車販売会社へ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
2速発進機能と年式などについて
現行型では2速発進機能が標準搭載されていますが、2015年7月以前に製造されたエブリイでは残念ながら装備されていません。
快適に運転する上で2速発進は必須機能なので、2速発進機能がない年式のエブリイはグレードによらず非推奨です。
1速発進は間違いなくストレスが溜まります
またMT車の運転が好きで5MT車を購入できる環境の方には5MT車を推奨します。
エンジンオイルをマメに交換できる方であれば、5MTのターボが街乗り〜郊外使用では燃費と走りを両立していておすすめですよ。
ただしターボ車は繊細なので、中古車では今までの所有者がちゃんと整備していたのかという点でギャンブル性があることに注意が必要です。
タコメーターの有無について
中古のエブリイを探していると、年式によってタコメーターがあったりなかったりします。
5AGSにおけるタコメーターの必要性についてのなめくじ的見解は、「有ると嬉しいけどすぐ慣れるから要らない」です。
シフトアップのタイミング(回転数)については、1週間も運転すればエンジン音や速度などで判断できるようになります。
それでもどうしても欲しい方はタコメーター付きの新しめのエブリイを購入するか、社外品を後付けしましょう。
最後に
本記事の内容は、車好きの方以外にとってはちょっとマニアックで、理解しづらい部分があったかと思います。
また最初にお伝えした通り、なめくじ自身は車の素人なので、間違った知識が紛れ込んでいるかもしれません。
分からない点や疑問点については、ご自身で更に調べたり車に詳しい知り合い又はプロに聞いてみてください。
さて5AGSですが、とても面白いトランスミッションで、特性を理解して選べばおおいに価値があると考えています。
「自分の使用環境や性格に向いていそうだな」と思ったら、どうぞ前向きに考えてみてくださいね。
またすでに5AGSを所有して「乗りにくいな」と思っている方は、なめくじの運転方法を一度試してみてはいかがでしょうか。
※Nレンジ使用の運転は自己責任でお願いします
もしかするとグッと快適に運転できるようになるかもしれませんよ。
こちらの記事でエブリイ全体のインプレッションを、こちらの記事ではMモードに特化した快適な運転の仕方をまとめていますので、興味がある方はどうぞお読みください。
ではまた次の記事でお会いしましょう