こんにちは、なめくじです。
本記事では車中泊DIYシリーズpart1として、「バックドア内部開閉編」をお送りします。
車中泊をする際に意外と悩むのが、どこから車内外の出入りをしようかという問題です。
もしバックドアを内側からも開くことができれば、車中泊のスタイルに幅がでます。
本記事ではエブリイDA17Vでのバックドア開閉のDIY方法を、多くの方が求めているであろう鉄板に穴を開けないスタイルで解説します。
アイディア自体は昔のエブリイや他の車種でも流用できるかもしれませんので、興味がある方はご一読くださいね。
購入したエブリイについて
まずは2022年12月に購入したエブリイについて軽く紹介します。
- スズキ エブリイ HBD-DA17V PCリミテッド ホワイト
- 2018年8月製造(4年落ち)
- 駆動:2WDの5AGS
- 走行距離:約78,000km
- 修復歴なし、内外装ともに大小の傷や凹みあり
- ETC(2015年製 FNK-M09T、ETC2.0未対応)
- カーナビ(2018年製KENWOOD MDV-D305、リアカメラ付)
- 乗り出し71.7万円(車を下取りしたので実質80万円前半)
バックドアとは
バックドア(リアゲート)とはトランク部分を開けるための扉で、ほとんどの車は上への跳ね上げ式となります。
ジムニーは横開き、セレナやステップワゴンなどは特殊な構造です
そして純正では内側から開錠することはできません。
エブリイのバックドアをDIYする
エブリイのバックドアは、外側のグリップを使い跳ね上げて開口する一般的なタイプです。
そのドアを「鉄板に穴を開けない」で「簡単」に施工できる内側解錠DIYを解説します。
本格的にやりたい方は開錠機構を理解しながら調べて施工してください
使う材料は以下の通りです。
- 丈夫な細いロープ(ガイロープなど)2m以上
- マスキングテープなど
- 内張剥がし
ロープの素材は割と重要ですので、詳細は後述します。
手順①:下準備
バックドアを内側から見るとファブリックのような沢山のピンで留められているトリムがあります。
まずはこのピンを内張剥がしの先やマイナスドライバーなどを使って外しましょう。
隙間に尖ったものを入れて軽く押すだけの簡単な作業です
ファブリックトリムを外した状態が以下の画像です。
内部は制振材や断熱材などが一切ない潔い作りで、内部にはドアロックの開錠機構だけが鎮座しています。
事前準備として、ここから更に中央の黒いプラトリムを外します。
この黒トリムはやや上部の左右2ヶ所にかなり硬いツメが刺さっており、外すのに結構な力が要ります。
上から下方向へ力づくで引っぺがすだけですが、力が足りなかったりトリムが割れるのが心配な方は内張剥がしをテコで使って外しましょう。
ここまで外せたら下準備完了です。
手順②:開錠の仕組みを確認する
開錠機構が露出したら、まずはドアグリップを実際に使ってどこがどう動いて開錠されるのかを確認しましょう。
ドアハンドル内側にはワイヤーが仕込まれており、ハンドルを引くことでワイヤーが引っ張られます。
引っ張られたワイヤーの先にはドア下部のラッチ(ロック)機構が存在するため、ロックが外れるという仕組みになっています。
ワイヤーがたわむと再ロックされるため、「ワイヤーを引っ張った状態にしつつドアを内側から押して開口」という流れになります。
よってDIYとしてすべき施工は「ハンドル〜ラッチまでのワイヤーに干渉する」または「ラッチ機構そのものに干渉する」のいずれかとなります。
ハンドル部を裏側から押す加工は作業がややこしいです
手順③:ラッチ機構を理解する
なめくじは、ラッチ機構そのものにロープを引っ掛ける方法を採用しました。
これはロープでラッチを引っ張り、ロックを開錠するという仕組みです。
選んだ理由は、ワイヤー干渉法では変な方向に力がかかってワイヤー付け根の樹脂パーツが割れそうだからです。
なので各パーツに純正ワイヤーと同じベクトルの力がかかり、なおかつ強度が高そうな金属のラッチ機構を利用しようと考えました。
なめくじと同じように加工したい方は、スマホのライトなどで照らしながらラッチ機構の仕組みを確認してください。
完成型をイメージしながらよき場所を選んでください
ロープの素材について
さてここでロープの素材について解説します。
ロープをかけるフックは金属部分ですので、材料と引っ張る角度次第ではロープが滑ってすぐ外れてしまいます。
また皆さんが思う2倍力を入れて引っ張ることになりますので、ある程度の丈夫さも必須です。
そこでロープの素材を検討します。
理想は「丈夫で細く、ある程度摩擦力がある素材」です。
ワイヤーが最高なんですが、そのまま使うとカタカタ音が出ます
ただ施工で問題になるのはロープの出口です。
最終的にロープは小さな鉄板穴を通って”多少擦りながら”引っ張りられますので、摩擦力が高すぎると次第に摩耗して千切れる恐れがあります。
なめくじはポリエチレンの安物ロープを使用しましたが、摩擦が高すぎず低すぎずのポリプロピレンのロープ(テントのガイロープなど)の方がお勧めです。
ラッチフックへの食いつきを重視して、ロープの太さはギリギリサイズの4mmを推奨します。
またロックから外れにくくするため、事前にロープの巻き癖を消しておくことを推奨します。
重しをつけて吊るしておくか熱めのお湯に通して伸ばせば大丈夫です
手順④:ラッチフックにロープを設置する
ロープ先に適当な小さい輪っかを作り、ラッチのフック部分に引っ掛けます。
輪っかを大きく作ると二重になったロープが純正ワイヤーなどに干渉しますので注意してください。
ロープの結び方は、”玉”が大きすぎず解けないなら何でも構いません。
なお純正ワイヤーに干渉しないよう、ロープの出口をドア上部にするならワイヤー奥へ、ドア下部にするならワイヤー手前にロープを通した方がいいでしょう。
ロープの出口位置について
鉄板に穴を開けない開錠スタイルでは、最終的にファブリックトリムのピン穴からロープを出します。
ドア下部からロープを出しても問題ありませんが、そうすると開いて跳ね上がったバックドアを車内から閉める時に、ロープがかなり遠くなってしまいます。
それに垂れてると外から閉める時にドアでロープを噛みますしね
よってなめくじはトリム上部の穴からロープを出すことにしました。
とは言え、いずれの場所でも表側のロープワークでどうとでもできますので、そこまでこだわる必要は無い気もします。
手順⑤:ロープのルートを設定する
先ほど同様、ロープの出口位置を考えながら純正パーツに干渉しないようなロープのルートを設定しましょう。
ここらへんは自分で実際にロープを張りながら考えましょう
ルートが設定できたら実際にロープを引っ張ってみて、ロックが解除されるか確認します。
ちなみに本方式でのロック解除は通常ハンドル操作の倍くらい引く力が要りますので注意です。
これは支点力点作用点とか滑車とか、ああいう理屈です(適当)
ロックが解除されるとラッチ機構から”ガチッ”という音が聞こえます。
手順⑥:ロープ出口を養生する
ロープは鉄板の穴とトリムピン穴を通して表に出すのですが、鉄板の穴と常に摩擦が起きます。
そのため材質や使う頻度あるいは引く角度次第ではロープが切れてしまう恐れがあります。
鉄板穴は鋭いので使うたびにロープがヤスリかけされるイメージです
よってロープと面する鉄板穴を何かしらで養生した方が長持ちするでしょう。
しかし養生テープでは弱すぎて1〜2回で切れますので、マスキングテープのような分厚く丈夫+鉄板への接着性が高い材質を考えましょう。
シーラントのような柔らかめの材料で鉄板穴のささくれを処理してもいいかもしれません。
また発想を変えてロープをゴムシート等で補強する手もあります。。
ただし太くなったロープが穴に通れば…ですが
材料にワイヤーを使うのであれば切れる心配はありませんが、今度はワイヤーが鉄板に当たることで発生するカタカタ音対策が必要となります。
手順⑦:トリム穴にロープを通し元通りにする
ロープを最終出口のトリム穴から出してから、元通りに戻しましょう。
内部の黒トリムを嵌め直し忘れると、ファブリックトリムを再度外すハメになるので注意しましょう。
お察しの通り、なめくじはやらかしました
手順⑧:ロープ末端を加工する
穴から表に出したロープの末端を車中泊で使いやすいように加工します。
シンプルに玉結びで垂らしてもいいですし、ロープに取っ手を装着してもいいかもしれません。
また別の穴から支持ロープを出して本ロープと接合し、ドアを引っ張り易くするのもいいでしょう。
現物を見て考えるスタンスの方は、どうとでもできるように長めのロープで施工しておきましょう。
それぞれの車中泊スタイルに合わせて加工してください
最後に
本記事は内部からバックドアを開閉するDIY方法の一例について解説してみました。
このバックドア開閉DIYは、目的達成のためにはいくつもの正解ルートがあります。
紹介した方法はあくまで一例であり、これが正しいというつもりは全くありません。
ドアの開錠メカニズムを理解し、最もご自身の車中泊目的に最適なDIYをしてみてください。
またこのDIYは車の安全性になんら影響が無く、手間さえかければ誰でもできる作業ですので、DIY入門編として非常にお勧めです。
頭と手を使って問題解決するというDIYのエッセンスを経験できます
DIYそのものに不慣れな方は、ぜひこのバックドアの内側開閉からチャレンジしてみてくださいね。
ではまた次の記事でお会いしましょう