どのようにエブリイを改造して2人用の車中泊仕様にすべきか。
本記事では、そのアイディアとそれぞれのメリットデメリットなどを整理・考察します。
どちらかというと将来の自分たちへ向けたメモに近い記事ですが、これからエブリイを車中泊用に改造する方の参考にもなれば幸いです。
前提条件
本記事では、一般的な体格の夫婦2人での車中泊を想定して考察します。
エブリイ荷室の問題点を整理する
エブリイの荷室が広いといっても、それはあくまで軽自動車規格での話。
荷室を平面として捉えると、セミダブルベッドサイズ(1200mm*1950mm)のスペースしかありません。
横幅が一番の問題となります
大人2人で寝るには狭いとされているセミダブルベッドサイズの横幅をこれ以上削ると、寝返りが打てないなど睡眠の質が低下します。
よってエブリイの荷室で2人寝る場合は、厚みのある造作棚などは設置できません。
一方で、車中泊をするには、それなりに荷物が置ける空間=収納力が必要です。
この制約の中で、どのように車中泊の仕様を選べばいいのでしょうか?
以下のアイディアについて、それぞれのメリットデメリットを考察します。
- ベッドが収納になっている
- 天井に棚を作る
- 横壁の”上”に棚を作り足元空間を確保する
- ギミックによってベッド展開できる
- ルーフキャリアーを装備して荷物スペースを確保する
- ヒッチキャリアーを装備して荷物スペースを確保する
- リアシートを外す
- 荷室に中棚を設置する
試したことがないものはあくまで想像です
ベッドが収納になっている
丈夫なボックスを複数使ってフラットな床面を作ったり、木枠やパイプを組んで一面のベッド兼収納としているパターンです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- 直方体の使いやすい空間を確保できる
- 最も大きい収納力を確保
- JOINのシート傾斜を解消できる
- 荷物が不可視化されてスッキリする
- 天井が近くて圧迫感がある
- 座っていても窮屈
- 就寝時の荷物出し入れが大変
- 車への出入りが大変
- 重さで走行性能に影響が出る
床面から座面への高さ調整は、低くすれば居住空間を広く確保できる一方で収納力が低下するという、トレードオフの関係となります。
また外の地面からベッド面までの高さがあるので、玄関口を設けなければ車への出入りがかなり大変だと考えられます。
天井に棚を作る
イレクターパイプなどを使って天井に収納棚を設置するパターンで、荷室の床に直接マット等を敷いて就寝します。
なめくじ家ではこちらを採用していますが、ビルダーは避けているっぽいです
こちらのメリットデメリットは以下の通りです。
- 直方体の使いやすい空間を確保できる
- 車への出入りが楽
- 就寝時の荷物の出し入れが楽
- 座位は問題なく可能
- DIYが簡単
- 棚によって圧迫感がある
- 映え感がない
- 天井ライトを設置しにくい
- 軽いものしか収納できない
- JOINの傾斜は別で解消しなければいけない
天井収納棚も高さもベッド収納同様に、居住空間の広さと収納力がトレードオフとなります。
横壁の”上”に棚を作り足元空間を確保する
キャンピングカーなどでよくある横棚をエブリイの車内に設置すると、就寝スペースを圧迫してしまいます。
そのため、ビルダーは足元空間だけ逃した横壁棚を造作するパターンも多いです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- 見た目と実用性のバランスが良い
- 車への出入りが楽
- 就寝時の荷物の出し入れが楽
- 足や膝をぶつけやすい
- DIYの難易度が高い
- 大きいものを収納できない
- 固定のため車体へ穴を開けることになる
- 重さで走行性能に影響が出る
- JOINの段差は別で解消しなければいけない
こちらのパターンは重い造作棚を固定するために車体鉄板へ穴を開けることが絶対条件であり、車のリセールが下がります。
ギミックによってベッド展開できる
普段はベンチ兼収納で、足をつけたりするとベッド化するようなギミックを搭載するパターンです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- リビングスペースとしての質が高い
- 見た目の開放感や映え感がある
- それなりの収納力を確保できる
- 車への出入りが楽
- JOINのシート傾斜を解消できる
- DIYの難易度が高い
- 展開と収納が面倒になっていく
- 重さで走行性能に影響が出る
- 固定のため車体へ穴を開けることになる
なめくじのようなものぐさな性格だと、展開と収納の手間が億劫で、いつしか展開しっぱなしの本末転倒状態になる可能性があります。
また大掛かりなギミックのDIYは、しっかり採寸して製作しないと失敗するため難易度が高めです。
ルーフキャリアーを装着して荷物スペースを確保する
ツールボックスかルーフボックスをルーフキャリアーと組み合わせて、ルーフ上に荷物スペースを確保するパターンです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- 室内空間を使わずに収納スペースを増やせる
- 室内空間のアレンジ幅が広がる
- 重心が高くなり、走行安定性が低下する
- 重さで走行性能に影響が出る
- 高さ制限がある道路や駐車場を使えなくなる場合がある
- 荷物の出し入れが大変
身長次第では、荷物を出し入れするための脚立やラダーを持っていく必要があります。
ヒッチキャリアーを装着して荷物スペースを確保する
ツールボックスとヒッチ(メンバー)キャリアーを組み合わせて、車外後方に荷物スペースを確保するパターンです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- 室内空間を使わずに収納スペースを増やせる
- 室内空間のアレンジ幅が広がる
- キャリアーを一時的な物置き場として使える
- 重さや重心変化で走行性能に影響が出る
- 後退時にぶつけやすくなる
- リアゲートの開閉が大変になる
- 荷物の出し入れが面倒
- 軽規格の駐車場に停められなくなる
- 取付工賃も含めて高額
ぶっちんの軽キャン生活様の記事が、実体験としてとても参考になります。
内側から開けられるようにDIYしたリアゲートでも、残念ながら荷物の出し入れには使用できません。
リアシートを外す
リアシートを外して、その分の空間を収納スペースとして確保するパターンです。
メリットデメリットは以下の通りと思われます。
- 収納スペースを増やせる
- 段差の解消が比較的簡単
- 車が軽量化され走行性能に良い影響が出る
- シートの脱着が面倒
- ナンバー(構造)変更が必要
- 乗車定員が2人になる
- 任意保険が適応されなくなる可能性あり
- 外したシートの保管場所が必要
ナンバー変更を伴ったり乗車定員が減る施策のせいか、ビルダーのデモカーではリアシートを外した車は少ない印象があります。
これをやるのはかなり覚悟が決まった車中泊erといったところですね。
荷室に中棚を設置する
荷室を最大限に使うために中棚を設置するという、仕事車でよく見かけるパターンです。
なめくじのエブリイでも採用しています
メリットデメリットは以下の通りです。
- ボックスを積んでも就寝スペースを確保できる
- DIYが比較的簡単
- 荷物の出し入れが簡単
- 工夫すれば机としても使える
- 見た目が悪い
- 荷室のアレンジ幅が狭まる
- 走行中は中棚へ荷物を載せにくい
- リアゲートを出入り口にできなくなる
映え感を重視しようとギミック展開できる中棚にすると、DIYの難度が高くなり耐荷重性能が落ちます。
実用性を重視したい場合
見た目にはこだわらずに実用性を重視したい場合は、以下の仕様が候補となります。
- ベッドを収納化して、車への出入りを楽にするギミック(玄関)を作成
- ベッド自体をギミック化し居住空間と収納力を両立する
- 天井収納と荷室中棚を設置する(なめくじエブリイはコレ)
手間さえかけられるなら上2つのギミック化をおすすめします。
玄関の作成に関してはCamping Kei-car.JP様の動画を見るとイメージしやすいかと思います。
もう少しシンプルなギミックにしたい方は、軽バン生活様の動画が参考になります。
なるべくお手軽に改造したい場合
車に穴を開けず、そして簡単かつ安価に改造したい場合は、以下の仕様が候補となります。
- 天井収納と荷室中棚を設置する
- ルーフキャリアーを装着して荷物スペースを確保する
天井収納のDIYについてはコチラの記事で、荷室中棚のDIYについてはコチラの記事で解説しています。
多少準備するものはありますが、ベッドの土台を組んだりギミックを作成する作業と比べたら簡単にDIYできます。
ルーフキャリアーを装着した場合には、荷室空間を最大限に維持できるため、お手軽スタイルから手間をかけたDIYまで広く対応できます。
車内の荷物はフロントシートにおけばOK
映え感を重視したい場合
やはり折角の車中泊仕様にするからには、映え感(≒開放感)を大事にしたい方も多いでしょう。
しかし軽自動車規格では映え感と収納力がトレードオフとなっているため、それらを無理やり両立させようとすると寝心地・手間・費用などのいずれかを犠牲にする必要があります。
ビルダーが製作したデモカーは、手間と費用を犠牲にして映え感・収納力・寝心地を確保している印象です
- ベッド自体をギミック化し居住空間と収納力を両立する
- 横壁棚を造作して荷物を最小限に絞る
ベッドのギミック化はDIYの大変さ(依頼する場合は高額の施工費)と展開・収納時の手間に目を瞑れば、最も映え感を味わえます。
ボンゴベースなので完全な真似はできませんが、ギミックベッド化の雰囲気を掴むにはwinpy-jijii様の動画がおすすめです。
横壁棚はDIY難易度が高い上に車体に穴を開ける割には十分な収納力が確保しにくいのが難点です。
もしやるなら、横壁棚から荷室後方の上部を全て棚化して繋げるなどの思い切りが必要かもしれません。
開放感はガクッと減りますけどね
室内空間をできるだけ確保したい場合
室内空間をできるだけ確保したい場合は、車外にスペースを作るのが一番でしょう。
よって取るべき手段はルーフキャリアーまたはヒッチキャリアーの採用です。
車の取り回しを重視するならルーフキャリアーに、荷物の出し入れを重視するならヒッチキャリアーにそれぞれ軍配が上がります。
ただしよく使われるルーフキャリアーのほうが、製品のバリエーションが広く、そして安価でしょう。
各種キャリアを使う場合は車内外の荷物をどう適切に振り分けて保管するかが快適性に繋がります。
キャリアー以外にはリアシートを外すという選択肢もありますが、ナンバー変更が必要なため、よく吟味してください。
その他の検討
その他の手段も一応メモ代わりに検討します。
可変2段ベッド
縦180cm×幅70cm(内寸175cm×65cm)×高さ60cmの2段ベットを作れば、縦180cm×幅50〜55cm×高さ120cm程度の細長い空間を確保することができます。
方法論としては、イレクターパイプ+合板+マット、あるいはイレクターパイプの骨組みに直接マットを敷くことになります。
※えぶりんチャンネル様の動画によればイレクターパイプは想像以上に強度があるようですが、自作する場合は必要に応じて補強を検討しましょう
しかしリビングスペースとして活用するには2階部分が邪魔になるため、簡単に取り外せる構造にするなど工夫が必要となります。
あとイレクターパイプ剥き出しなんで見た目がダサいですね
可変2段ベッドは製作難易度がやや高めな一方で、うまく作れば就寝スペース・収納力・リビングスペースを確保できる可能性を秘めています。
ちなみにリビング時の収納はベッド下とフロントシート、出入りはスライドドアとリアゲートからというイメージです。
巨大ベッドキット
フロントシートまで覆ってしまうほどの巨大なベッドキットを作れば、収納力と十分な就寝スペースを確保できます。
イメージ図:ハーブパパの成長日記様の記事
この場合、なるべく組立&撤去の手間を減らすために荷室部分とフロントシート部分のフレームは独立させ両者を接続する形にすべきでしょう。
欠点としては毎回の手間と展開時に運転ができなくなること、そして車への出入りが大変になることが考えられます。
またかなり天井が近くなるので、男性の平均的体格の方は座位も取れなくなる可能性があります。
最後に
なめくじのエブリイは現在、天井収納棚+中棚のスタイルで2人分の就寝スペースと収納力を確保しています。
しかしどうしても圧迫感が拭えないのと、映え感が無くて車中泊に慣れてきた現在ではちょっと非日常的な楽しさが減少しています。
なので本記事では色々と車中泊仕様のアイディアについてそれぞれメリットデメリットを整理し考察してみました。
実用性・手間・費用・収納力、これら要素をご自身の車中泊スタイルに合わせてバランスを取ってみてくださいね。
ではまた次の記事でお会いしましょう