本記事は以前の記事の続きものですので、まずはそちらからお読みくださいね。
さて今回は発展編として、前回で触れなかったケースバイケースの運転方法を中心に羅列整理します。
記事の目的としては家族向けの教科書であり、読者の皆様にこれが正解だと言うつもりも押し付けるつもりもありません。
その点、ご了解の上で読み進めてくださいね。
ハンドル操作
ハンドルの握り方と切る際の持ち替え
まずハンドルの握りですが、現在は9時15分が正解とされています。
全ての運転手がこの9時15分の握りを基本として習得すべきでしょう。
とは言いつつも、なめくじは運転の楽さと操舵の安定性を重視して、右手は伸ばし切った状態で2時〜3時(ハンドル固定兼大きめ操舵)・左手は肘を曲げながら順手で7時(修正舵)に置いていることが多いです。
※真似する方は自己責任でどうぞ
さて直角〜鋭角な右左折をする際は、ハンドルを180°以上切る必要があります。
この時に両腕を追従させていくと途中で腕同士がクロスする形になり、滑らかな操舵ができません。
滑らかな操舵じゃないと横Gのゆらぎが発生します
よって180°以上の切れ角が必要な場合は以下の順にハンドルを持ち替えます。
- 140°〜160°程度までは片腕(開始腕)だけの力でハンドルを切る
- 反対腕は早めに手を離しておく
- 開始腕が苦しくなる前に反対腕でハンドルを掴む
- 開始腕を離し元の位置に戻しつつ反対腕で切り足していく
- 反対腕が苦しくなる前に開始腕でハンドルを掴む
- 必要なら上記を繰り返し
分かりやすく言うと、「ハンドルというロープを両手で手繰っていく」というイメージです。
手順の一部で逆手操作をするのもいいでしょう
ギアチェンジのために左手に余裕を持たせたい場合は、摩擦力の強いハンドルカバーを装着した上で、右手のたなごころでハンドルを押しつつ、指で補助しながら回転させます。
慣れれば片手で何回転でもハンドル操作できますが、基本は悪い操作方法とされていますし、手の大きさ、指の使い方の正確性なども関係しますから無理はしないでください。
切ったハンドルの戻し方
ハンドルは深く切り込むほど、元の位置に戻ろうとする”復元力”が強く働きます。
よって深く切ってから手を完全に離すとクイックにタイヤの切り角が変わり、快適じゃないどころか危険ですらあります。
1回転以上ハンドルを切り込んでから戻す場合は、手を完全に離しきらずハンドルの復元力にブレーキをかけます。
指の腹や手のひらでハンドルの回転に摩擦をかけるイメージです
ちなみにハンドルを切る手順の逆にクルクル回すのは、操舵がモタつくのでおすすめしません。
逆に浅めのハンドル切り込み時では復元力が弱いため、補助操舵が必要なシーンもあります。
その際になめくじは、MP関節の膨らみ辺りでハンドルを軽く押しながら片手でクルクルしますが、やりづらい方は両手でちゃんと操舵してください。
地面のギャップを避けるハンドル操作
全ての車種に共通しますが、なるべく地面のギャップを避けるようハンドル操作すると、乗車体験の質が上がります。
具体的には「マンホール周りの盛り上がり」「アスファルトの凹みや穴」「歩道との段差」を避けます。
もちろんキープレフトの原則を守り、周囲の交通への危険や威圧感を回避した上で行ってください。
アスファルトの凹みが分かりづらい方は、小雨で道路の所々にできた水たまりを避ける練習から始めてください。
この運転ができるようになれば、自車のタイヤ位置の把握、ひいては車幅感覚が正確になり、狭い道で対向車や電柱にサイドミラーをぶつけるリスクが格段に減ります。
また穏やかなハンドル操作でギャップを避けるように練習すれば、自然と前方への意識距離が伸びて、運転が上手になります。
シフト操作
シフトの握り方と入れ方
シフトレバーは負荷をかけるとそれだけ周囲のパーツに悪影響を与え、故障の原因となります。
よってレバーを軽く握って最低限の力で必要なシフト操作をした後、手を離しておくのが基本です。
木綿豆腐なら潰れない程度の力しか入れません
クイックなシフトチェンジのためにレバーを握り続ける場合は、触っているだけにして腕の重みをレバーにかけないようにしましょう。
停止前にあえてシフトアップ
次の信号で停車するけど今のギアだと途中でアクセル踏み足しが要りそうという状況はよくあります。
トロトロ走ると後ろに迷惑もかかるし…みたいな
そんな時はあえてシフトアップしてからアクセルオフをしましょう。
シフトアップでエンジンブレーキ抵抗を減らせば、アクセルオフで走れる距離が多少伸びます。
凹凸を拾っている時にシフトアップ
どんなに意識しても毎回完璧にシフトアップできる訳ではありません。
そこでタイヤが地面の凹凸を拾っている時にシフトアップしましょう。
そうすればギャップによる車体の揺れにシフトショックを隠すことができます。
あくまで自然に隠せるタイミングだけ行います
ガソリンが多い時と少ない時の違い
ガソリンが多い時と少ない時では20kg以上の車重差があり、慣性の働き方に影響が出ます。
具体的に言えば、クラッチを切った際にガソリンが多い時はギア回転数が落ちにくく、少ない時は落ちやすい印象があります。
データを見てる訳じゃないので体感です
よってガソリンが多い時ではエンジン回転数が相対的に早く落ちるので、シフトアップ時のアクセルオフタイミングを気持ち遅くします。
逆にガソリンが少ない時ではギア回転数の落ちにエンジン回転数の落ちが追いつくよう、アクセルオフを早めにしたりオフしてからシフト操作したりします。
これら操作の微調整により、ガソリンの多寡に限らず快適にシフトアップができるようになります。
サマータイヤとスタッドレスタイヤの違い
サマータイヤはスタッドレスタイヤと比べゴムが硬いため、シフトショックをあまり吸収してくれないという特徴があります。
よって快適にシフトアップするのはサマータイヤの方がシビアな印象があります。
サマータイヤはスタッドレスタイヤより摩擦抵抗が少なくギア回転数が落ちにくいため、シフトアップ時のアクセルオフを遅めにする意識を持ちましょう。
スタッドレスタイヤは摩擦抵抗が大きいので、サマータイヤよりも若干アクセルオフを早めたり、先にアクセルオフしてからシフト操作をします。
シフトショックの変化が分かりやすくて面白いですよ
タイヤの空気圧による違い
基本的にタイヤの空気圧は規定量を推奨しますが、あえて圧を上げたり下げたりする場合があります。
また手入れをサボって、知らず知らず空気圧が下がってる方も多いでしょう。
何を隠そう、なめくじのことです
基本的に空気圧を上げるほどタイヤの摩擦抵抗が減る=ギア回転数が落ちにくいので、シフトアップ時のアクセルオフは遅めにすると良いです。
逆に空気圧が低い場合はクイックにアクセルオフ、もしくはアクセルオフしてからシフトアップしましょう。
上り坂でのシフトアップ
上り坂でのシフトアップではギア回転数が落ちやすいため、先にアクセルオフしてからシフト操作をします。
その加減は、その時の車重(荷物や乗車人数、ガソリン量など)や勾配により微妙に変わりますので、体で覚えましょう。
わずかな勾配程度であれば、アクセルオフとシフト操作が同時くらいの意識で行います。
上り坂でのシフトダウン
5AGSでは坂道で一定のエンジン回転数以下になると自動でシフトダウンが入ります。
しかしそのタイミングは読みづらく、結局アクセルペダルを踏んだままになりがちです。
そのせいかクラッチの再接続時にシフトショックが起きやすい印象があります。
よって4速〜5速で上り坂を走行する途中で車速が落ちてきたら、自動シフトダウンが入る前にアクセルオフして手動で落とすことをおすすめします。
※急にエンジンが唸りますが自動ブリッピングの音なんで大丈夫です
シフトダウンした方が上り坂でも車速を維持しやすいです
上質な左折のためのシフトダウン
個人的に最も難しいと感じているのが、停車せずに行う快適な直角〜鋭角左折です。
減速→左折→立ち上がりの中で、どうしてもシフトショックや急激なエンジンブレーキ増加により軽いロデオ状態になりがちです。
曲がり始めまでに2速へ落ちるよう減速すべきですが、それを電子制御に任せるとどうしてもシフトダウンのタイミングが遅くギクシャクしてしまいます。
5AGSにこれ以上を求めてはいけません
よってAT車やCVT車のような滑らかな左折をしたい方は、気持ち早めに手動で2速へ落としましょう。
タイミングがシビアですが、綺麗に行えば一切の自動ブリッピングやシフトショックが起きずに左折が可能となります。
2速へ手動シフトダウンする目安は18km/hを切った辺りですが、色々試して体で覚えてください。
アクセルとブレーキ
信号機のタイミングを覚える
頻繁に通る道であれば、信号機が変わるタイミングを意識して覚えましょう。
そうすれば例えば、「今この位置から発進したから、次の信号には必ず引っかかるな」といったことが分かります。
未来が分かれば早めのアクセルオフによって自然な減速へと繋げられ、快適な運転となります。
できるだけ先の情報を見る
車列は一方通行ですから、前の車の挙動が玉突きのように後方の車の挙動に影響します。
つまり未来を予見しそれに合わせる運転をするならば、できるだけ先の交通情報を見るべきということです。
5秒後〜10秒後の未来に合わせて加速や減速を一足早く始めれば、不必要なアクセル・ブレーキ操作が減って快適性が増します。
前の車のスモークガラスが鬱陶しく感じられると良いですね
3速以下に落とさない
エブリイ5AGSではギア比の関係で、3速以下に落とすとエンジンブレーキが急に強く効き始めます。
よって滑らかな加速や減速をしたいのであれば、なるべく4速〜5速を維持することが肝となります。
5速で走行中、先で詰まっている車列の動きが再開しそうだけど、その前に車間が詰まってブレーキをかけそう。
こんなシーンでは意図的に早くアクセルを離したり、4速にシフトダウンすることでフットブレーキを使うことなく車間距離を確保しましょう。
渋滞吸収走行の応用です
上り坂ではアクセルを踏み足す
上り坂で平坦な道と同じアクセルペダルの踏力では、車は徐々に減速していきます。
快適な運転には加速や減速機会をなるべく減らすことが重要なので、上り坂に差し掛かったら1割〜2割くらいアクセルを踏み足して同じ車速を維持しましょう。
もちろんアクセルを踏み足す代わりにシフトダウンで対応してもOKです。
下り坂ではシフトダウンを活用する
長い下り坂ではシフトダウンでエンジンブレーキを効かせるべきなのは周知の通りです。
しかし短い下り坂(橋や跨線橋など)でも、シフトダウンを活用する場合があります。
加速し始める前にシフトダウンして下り坂でも車速を一定にすることで、同乗者にとって怖さがない穏やかな乗車体験となります。
燃費的にはわずかに悪化しますけどね
左折時のブレーキング
左折時のブレーキングを快適にするのは大変です。
それなりの速度で走行中に左折のための減速をすると、断続的な自動シフトダウンが起きてシフトショックや制動Gの揺らぎを強く感じます。
これが嫌なんですよね
よってシフトショック回避のためには車速を落とす際には、ブレーキペダルの踏力微調整が必要です。
もし鈍角な左折で安全を十分に確保できている場合は、3速を維持するようにブレーキをしましょう。
2速に落ちるかギリギリの速度であれば、曲がり途中でわずかにアクセルペダルをノックし、3速に必要なエンジン回転数を維持することもあります。
最後に
繰り返しになりますが、本記事で紹介する運転や操作が正解とは言いません。
もし5AGSで、より快適な運転を見つけたいのであれば一度試してみてください。
それで自分に合うやり方だと思えば続けるべきですし、「何か違うな」と感じれば元に戻してくださいね。
ではまた次の記事でお会いしましょう